JUGEMテーマ:
学問・学校2008年度の後期、横浜市の公立小学校での英語指導を通して、感じた本音を書こうと思います。
今回は敢えて、厳しい視点で感想を述べてみようと思います。
『やってみて良かった!』
正直、やってみて良かった!というのが一番のホンネです。何事も経験してみなければ、分からないことがたくさんありますよね。
実際に英語教育を通して、小学校の現場を見ることができたことは、何よりも大きなスキルUPになりました。
『子どもたちと英語』
そして、英語を教えているとき、子どもたちと接しているとき、私は本当に楽しかったです。
たくさん笑いました。一緒に遊びました。一人一人と触れ合いました。
それで分かったことは、子どもたちは英語が大好きなのです。活き活きと、楽しんで英語を学ぼうとしていました。そんな小学校英語の生の姿を、第三者ではなく、先生として参加し、一緒に楽しく英語を勉強できたことが、本当に良かったです。
たぶん、子どもたちはみんな素で、英語が好きなのだと思いました。英語というよりは、「他人とコミュニケーションをとること」なのかもしれません。クラスのお友達との関わり合い、先生との関わり合い、ボランティア先生である私との関わり合い・・・。
子どもたちにとっては、ボランティア、ボランティアでないは関係ありません。先生は先生なのですよね。
担任の先生とは、毎日接していて、1限前までは日本語での授業を受けているわけですが、そこにいきなり英語の先生(私)が来て、英語で会話をする・・・というのは、子どもたちにとって、日常のなかのちょっとだけスペシャルな時間だったようです。
担任の先生には、少し申し訳ないのですが、「ゆづか先生が来てくれないとつまらない!」「英語が好き!」「いつか留学したい!」「今日の英語の授業、とても楽しかった!」と、子どもたちが言ってくれる、その声が、何よりの報酬でした。
また、クラスには授業に出ない、登校拒否気味・・・など、ちょっとしたトラブルを抱えている子どももいましたが、担任の先生の努力によって、「ゆづか先生も来ているし、英語活動だけ出てみよう!」と言って少しずつ頑張りました。その結果、最初の頃は全然授業に顔を出していなかった子が、後半はいつも席にいて、積極的に参加してくれている姿を見て、とても嬉しかったです。
そんなエピソードからもお分かりの通り、公立小学校では、英語、語学それ自体を学ぶ、ということも大切ですが、お友達とみんなで一緒に英語を学ぶこと、ちょっとしたスペシャル感など、語学という枠を超えたプラスアルファーの効果があると感じました。
日本人はとくに「みんながやっているなら、自分もやってみよう」「みんなが楽しそうだから、自分もやってみよう」という感覚があるので、1人で英会話スクールに行くよりも、仲の良いお友達とみんなで学んだ方が良いことが多分にあるのです。
『現場の先生たちと英語』
小学校の先生方は本当に忙しいのです。いつも何かの行事に追われて、手一杯という状態です。そんな状態で、新しい取り組み=英語活動を増やすのは、無理があると思いました。
先生方には「英語活動を頑張りたい」という理想はあります。どの先生も「こんなことができたらいいな!」と英語に対する想いもあります。
しかし、忙しい毎日、他の教科との両立、行事との調整を考えたとき、英語活動は先生方にとって、「おまけ」程度になってしまっているのが現実です。
それは、今の学校環境を考えたとき、仕方の無いことだと思います。今以上の仕事を担任の先生に求めるのは、無理があるのです。先生方も仕事として、先生をやっていて、1人の人間なのですから、当然キャパはあり、やるべきこと、やらなければならないことに対して、優先順位を付けて仕事に臨まなければならないのですから。
そのために、地域人材、ボランティアの活用を国や市は推進しているのでしょうが・・・、前途多難というところでしょう。今後の大きな課題だと思います。
『カリキュラム』
授業内容は、カリキュラムがあるようで、ないような、そんな状態でした。先ほど述べたように、現実的に言うと、授業内容の充実の問題に着手する前に、先生の確保というか、それ以前の体制確立の問題の方が優先事項です。まず第一に解決させるべきです。
それがクリアできて、次はカリキュラムや授業内容というところに入っていくと思います。
まずは、授業の打ち合わせが前もって、きちんとできることが必要です。担任の先生とボランティア、5分でも10分でもいいので、話し合えると良いのですが、なかなか難しいのが現実です。
なので、時間的問題を解決するような、カリキュラムがあると良いと思いました。
授業例があって、それに対して、先生同士がクラスの状況に合わせて、簡潔に短時間で話し合えると良いと思いました。
何も縛りがなく、カリキュラムもなく、自由にできることは、各学校での状況が違うなかでは、良い面もありますが、現在の状況下では、何かベースとなるものがあった方が良いでしょう。ただ、それを絶対に使わなければならないのではなく、アレンジ可能の自由度の高いカリキュラムを参考にして、授業を組み立てていくということが大事かな?と思います。
また、小中連携も大きな課題の1つですね。なんだか、課題ばかりのような気がしてしまいますね・・・。
『ボランティアの立場と環境適応能力』
当初、英語活動サポーターという"ボランティアとして学校に関わる"、その立場、立ち位置に非常に戸惑いました。
公務員としての正規雇用の先生方の中に、外部の人間が1人。いつ行っても、先生方は目の前にある行事やトラブルに追われ、バタバタ忙しない雰囲気の職員室で、私はどういう立ち位置でいれば良いのか、その感覚を掴むのには、時間が掛かりました。
一般企業と職員室の雰囲気には、かなりの差があり、その独特の時の流れに慣れるには、多少なりとも時間が必要です。
幸い、私のお世話になった小学校の先生方はとても優しく親切な方ばかりだったので、何度か学校に通っているうちに、立ち位置も分かってきましたが、環境適応能力の低いボランティアさんは苦労するだろうと思いました。
『提案力』
他方で、環境適応能力と同時に、自分自身で切り開き、提案していく力も必要でした。
基本的に、英語活動に先生方は大変関心を持っていらして、担任の先生方も無い時間を見つけ出して、一生懸命プランを練ってくれます。
英語教育に関しても、常にボランティアの意見に耳を傾ける姿勢を持っていて、その姿勢は素晴らしいと感じました。
しかし、ボランティアが積極的に、提案したり、働きかけることも重要です。
英語活動に対するベースはあっても、実際の授業で何かを実行するためには、まず、ボランティアから先生方への提案、相談、問いかけが必要です。
「こういうプランはどうですか?」「こんなことをしてみませんか?」という形で、強制的ではなく、「こんなこともできますよ!」という提案が大事だと思いました。
担任の先生からは、「いろいろなゲームを教えて欲しい。」というリクエストもあり、どんなTOPICにも対応できる楽しいゲームの引き出しが、役に立ちました。
そして、私が提案した授業プランで、先生が良いと思ったものは積極的に実行に移してくれ、準備をして下さったりと、とても協力的に動いてくださいました。
『先生方にはアッサリしている一面も・・・』
しかし、中には「それはちょっと難しいですね・・・。」と言われ、企画倒れになったケースも多々ありました。担任の先生がNGと思えば、どんな楽しいプランもNGです。はじめのうちは、時間を掛けて企画を練っても、先生方のOKが出ず、全て水の泡・・・ということがあり、とてもショックな時がありました。なので、「そういうこともある。」と考えて、まずは簡単なプランの概要を考え、企画の詳細は担任の先生にお伺いを立ててから練った方が時間の無駄にならないということも学びました。
『ボランティアの使い方』
ちょっと悪い言葉を使うとすると、「ボランティア = 暇、余裕がある人が好きでやっている。」と捉えられてしまっているのかな?と思った一面もありました。
実際に自分がボランティアをしてみて分かったことですが、ボランティアと言っても、子どもたちの英語教育に関わり、公立小学校の正規職員と同じように誓約書にもサインをしますし、責任のある仕事を引き受けているわけです。ただ違うのは「報酬があるか、ないか」というだけのはずなのです。
しかし、ボランティアは軽く見られがちだというのも、現実でした。
「お金をもらわない仕事」でも、仕事に変わりはありません。約束をすれば、その時間に行きますし、約束した仕事も引き受けますよね。
しかし、学校が常にバタバタしているのは理解できますが、直前にならないとスケジュールの連絡が来なかったり、授業の打ち合わせもほとんど出来ず、ぶっつけ本番だったり、電話すると言っていたのに何も連絡が無かったり、授業時間の変更があったのに連絡がなく、無駄足に終わったこともありました。
誰にでもミスはありますし、先生方に悪気はないですし、突発的な理由だったり・・・ということもありましたが、仕事のアポの時間変更を連絡しないなど、一般企業であれば考えられませんよね。
「ボランティアだから、このくらい、いいだろう。」という意識が少なからずはあったのだと思い、それはとても悲しかったです。
私も自分がボランティアをやってみなければ、分からなかったと思うので、あまり非難はできませんが、今後、私が他のボランティアさんと関わるときには、「いくら暇があっても、時間に余裕があったとしても、ボランティアさんの貴重な時間を貸してもらうのですから、自分の時間を大事にするように、他人の時間も大事にしよう。」と思いました。
でも、そういうトラブルが起こってしまった一番の原因は、学校がボランティアの使い方に慣れていないためと考えています。今後、何人もボランティアの先生を受け入れていくなかで、先生方もボランティアの先生を"上手く使う方法"を獲得していくのだと思います。
小学校英語の課題はこんなところにもありますね。
『ネイティブの先生とのチーム・ティーチング』
ネイティブの先生と上手くやっていくことも求められました。今回は、フィリピン人の女性の先生だったのですが、私の知り合いの先生と比較しても、ネイティブの先生は自分の教え方を確立していて、こだわりのある先生が多いように思います。
また、ネイティブの先生はボランティアでなく、仕事として来ているという点(やりたくて来ているわけではなく、お金のためにやっている場合がある。)、他の学校も掛け持っている点(1つの学校だけに愛着があるわけではない。)も大きな違いです。
担任の先生方もネイティブの先生の意向はなるべく聞いてあげていましたので、私もネイティブの先生が来る時には、彼女がメインで、彼女のやりたい通りにサポートするようにしました。
先生の個性にもよりますが、今回の先生に関しては、ネイティブの先生をなるべく立てるようにして、正解だったと思います。
ネイティブの先生が来るときの授業とそれ以外の授業を切り分けて考えていくことが、スムーズな授業に繋がりました。
つづきは、また後程。